屋根伏せ図の書き方をお探しですね。
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屋根伏せ図の書き方をやさしく解説!初心者でもわかる基本とコツ
建築図面を作るとき、「屋根伏せ図」は建物の屋根部分を正確に伝えるために必要不可欠な図面です。でも、普通の平面図や立面図と違って、屋根の組み合わせや重なり具合、棟(屋根の一番高い部分)や谷(屋根が合わさって低くなる部分)の関係がわからないと、初心者には書き方も読み方も難しく感じてしまいます。
この記事では、屋根伏せ図って何?という基本的な話から、いろいろな屋根の形ごとの書き方のコツ、実際に図面を書く手順、そして気をつけたいポイントまで、わかりやすく説明していきます。これから屋根伏せ図を書こうと思っている人や、課題で困っている人に、役立つ知識とコツをお伝えします。
屋根伏せ図って何?どんな役割があるの?
屋根伏せ図とは、建物の屋根部分だけを真上から見下ろしたように描いた図面のことです。英語では「roof plan(ルーフプラン)」と言います。建物の各階の平面図に合わせて、屋根の形や傾き、棟(むね:屋根の一番高いところ)、谷(たに:屋根同士が合わさって低くなるところ)、軒(のき:屋根の端っこ)などの様子を、線や記号で表しています。
この図面は、建物を設計する人や実際に建てる人が、屋根の部材をどこにどのくらいの長さで配置するか、雨水がきちんと流れるようにするにはどうすればいいか、部材同士がどこで交わるかなどを理解するために絶対に必要なものです。
見方としては、空から屋根を見て、どこに棟が通っていて、どの部分が谷になっていて、どこから傾きが始まってどこで終わるか、また出っ張った部分(下屋やバルコニーなど)の屋根や庇の範囲がひと目でわかるようになっています。普通は階ごとに、その上にある屋根を平面図の上に重ねて描きます。つまり、2階の平面図には2階の屋根を、1階の平面図には1階部分の屋根や庇を描くというわけです。建物の防水や雨水の流れ、外観のデザインとも深く関わっているので、設計者はこの図面でデザインと実際の作り方を総合的に検討するのです。
屋根伏せ図を書き始めよう!基本的な手順
屋根伏せ図を書くときの最初のポイントは、「何階のどの屋根を描くのか」をはっきりさせて、その階の平面図(外壁の位置や柱の中心線)を下書きとして使うことです。まず、どのくらいの大きさで描くか、どのサイズの紙を使うかを決めて、平面図の建物の形を薄く描きます。そこに屋根の輪郭線(屋根の外回り)を重ねて描き、屋根の種類に応じて主棟・隅棟・谷などを追加していきます。
基本的な流れはこんな感じです:
1. **建物の形(平面図)を描く:** 描きたい階の平面線をベースにして図面に描きます。
2. **屋根の外回りの線を決める:** 屋根の傾きや軒の出っ張り寸法から、外壁の線や柱の中心線より必要な分だけ外側に「屋根のふち」を描き入れます。
3. **棟・谷・隅棟などの中心線を描く:** 屋根の形(切妻、寄棟、片流れなど)によって棟や谷の位置関係を決めて、線で表現します。傾きの向きを示す矢印や傾斜の記号も必要です。
4. **小屋束や煙突、設備の開口部を描く:** 屋根の上にある点検口・換気塔や煙突があれば、その形と大きさ・記号を書き込みます。
5. **寸法と記号を書き込む:** 軒先から棟の中心までの寸法、主要な傾きの表示、必要な符号や説明を加えて、完成させます。
大切なのは、屋根の傾きの向きや、主要な納まり(棟・谷・軒など)がはっきりわかる配置になるように、わかりにくい重なりや余計な記号を避けることです。
いろいろな屋根の形ごとの書き方のコツ
屋根伏せ図は屋根の形によって書き方のコツが違います。代表的なものを例に挙げて、ポイントを説明しますね。
**1. 切妻屋根の場合**
切妻屋根は建物の両側に三角の部分(妻壁)ができて、正面と裏面に屋根面が伸びるシンプルな形です。屋根伏せ図では、両端の軒部分(妻側)を外壁で止めて、長い辺側に棟が一本通ります。棟の中心線を描いて、そこから左右へ傾きが下がっていく矢印や傾きの記号を書き込みます。軒の出っ張り寸法も正確に表現しましょう。
**2. 寄棟屋根の場合**
寄棟は四方すべての壁から屋根が立ち上がって、頂上部分に棟を設ける形です。屋根伏せ図では、周りの隅棟(斜めの棟線)とメインの主棟の線、谷があれば一緒に描く必要があります。各軒先から軒の出幅を確保して線を引き、隅棟が対角線上に入るように表現します。
**3. 片流れ屋根の場合**
片流れは一方向だけで屋根面が大きく下がる形です。屋根伏せ図では屋根の高い側と低い側の違いをはっきり示して、傾きの向きをわかりやすく表すことが大切です。外回りの形に合わせて屋根の端部を配置して、必ず傾きの向きの注記と寸法線を忘れないようにしましょう。
複雑な屋根の形の場合は、それぞれの屋根部分ごとに棟・谷・隅棟の位置を整理して、多角形や分割した図面でわかりやすく表現します。
屋根伏せ図を書くときの注意点とコツ
屋根伏せ図を描くときに見落としやすい注意点には、屋根の形と建物本体との”ずれ”や高低差の表現、実際の納まり(切り欠きや雨樋の位置)をはっきりさせることがあります。
まず、「屋根のふち」は軒の出っ張り寸法分、建物の外形より外側に描く必要があります。このため、外壁の線だけで収めないよう注意しましょう。また、平面図では見えない屋根の下の部分(下屋や出っ張り部分)は点線などで表現して区別するのが基本です。
さらに、屋根の傾きが違う面同士が合流する場合、棟や谷の位置が正確でなかったり、傾きを示す矢印の記載を忘れたりすると、実際に建てるときや他の図面との整合性に問題が生じます。複数の屋根の重なりや段差の部分、屋根の開口部(煙突や天窓など)の詳しい位置・サイズも必ず明示しましょう。
最後の仕上げとして、寸法線・記号・注記には統一性を持たせて、参考にする他の図面(立面図・断面図)と照らし合わせながら整合性を取ることが重要です。手で描いてもCADでも、線の太さや重なり、各所の名前(伏せ符号)に気を配って、わかりやすい図面に仕上げることを心がけましょう。
まとめ
屋根伏せ図は、単なる屋根の「平面図」ではなく、屋根の構造・デザイン・雨仕舞など多くの情報がぎゅっと詰まった重要な図面です。基本をしっかり押さえて丁寧に描くことで、建設現場や設計でのコミュニケーションミスを防ぎ、納まりや見た目の最適化にもつながります。最初はシンプルな切妻から始めて、だんだん複雑な寄棟・片流れや変わった形の屋根にもチャレンジしてみましょう。
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